声量を上げる方法はボイストレーニングにあり!|ボーカルマスター

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--はじめに

今回のテーマは「声量」です。
実は声が小さくて悩んでいる方はとても多いのです。
歌声も話し声も、大きな声量を出せる人は自身に満ちた印象を与えます。
また、多くの人を惹き込む魅力があります。
声量を上げるための様々なトレーニング方法や注意点を解説していきます。


■ 「声量」とは?声が大きければ良いわけではない

声量とはつまり「声の大きさ」です。
単純に大きな声は声量があると言えますが、その中でも「心地良いと感じる声」と「うるさいと感じる声」があります。
この2つは発声の仕方も全く違います。
例えば舞台演劇などで会場いっぱいに響き渡る声は、遠くまでしっかりと届く「心地の良い声」です。
玉置浩二さんがアンコールで生声のアカペラを披露される事が有名ですが、身体でしっかりと響きを作って発声されています。
余計な力みも感じない素晴らしい歌声です。
一方、距離感を無視して叫ぶような大声はうるさく感じてしまいます。
いわゆる喉声と言われる声で、首回りや肩回りは力が入ってガチガチです。
不思議なもので、うるさい大声は遠くまでは届きません。


■ 声量があると歌は上手くなるの?

ただ声が大きくなれば、歌が上手くなるという事ではありません。
しかし心地良い響きのある声で声量が増せば格段に歌は上手くなります。
大きく強く歌える事で、逆に小さく弱く歌う部分をより際立たせる事ができます。
感情表現の幅はグンと広がるでしょう。
また、バンド演奏の中で歌う場合は楽器の大音量に負けない声が必要です。
声量アップする事で、しっかり歌を主役に持ってくる事ができます。


■ 声量がない原因

これから声量を上げるために、まず声量が無い原因を考えてみましょう。


1.呼吸

声とは息から作られるものです。
まず強い息が吐けなければ大きな声を作る事もできません。
また、よりたくさんの空気を身体の中に準備する事も大切です。
声が小さい場合、息の出し入れが足りていないかもしれません。


2.口の開き、共鳴

マイクは必ず口の前にあります。
つまり、いくら頭や身体から声を出すイメージを持っても、口が出口である事は変わりません。
オペラ歌手は唇をめくるかの様に大きく口を開けています。
また口腔内で共鳴することで声量が増すため、口の奥もしっかりスペースを作れていないと声は大きくなりません。
そして鼻腔共鳴も大切です。
身体を楽器にするのですから、ある程度は顔の中の構造を知っておかなければ声量を上げる事はできません。


3.姿勢、筋力不足

口先だけで声を出していては大きな声は出ません。
口から出る声を支えているのは身体です。
例えば手からボールを投げる時に足が地面を踏みしめる様に、身体の力を声に伝える姿勢や筋力が大切です。
特に腹筋や背筋などは姿勢を保つだけでなく、強い呼吸と声を作るために欠かせない筋肉です。


4.物静かな性格

普段から控えめな方は声も小さい事が多いですが、何も四六時中大きな声を出す必要はありません。
「歌う時」「これだけは伝えたい」といった、いざという時に大きな声が出せるようトレーニングしてみましょう。


■ 声量を鍛えるトレーニング方法

実際に声量を上げていくためのトレーニングを紹介します。


1.腹式呼吸

普段よりたくさんの息が吸えて、強く吐く事のできる呼吸法です。
まずは仰向けに寝転がってゆっくり呼吸する事で、お腹に息が入ってくるような感覚をつかみます。
基本的にはリラックスする呼吸ですが、強化するためのトレーニングとしては、風船を膨らませる事で強く長く息を吐き続ける訓練になります。
逆にペットボトルを吸ってへこませる事で吸い込む力を強化できます。
ブレスビルダーというアイテムでトレーニングする歌手もみえます。
ぜひチェックしてみて下さい。
どちらも無理は禁物です!酸欠でクラクラしてしまう事もあるので、はじめは少しずつ様子を見ながらおこないましょう。


2.口の開き、共鳴の強化

・口腔共鳴
口は大きくタテに開くように心掛けましょう。
口を横に広げても顎のまわりに力が入り固定されてしまいます。
そうなってしまっては口の中は狭いままです。
「タテに開く」が重要です。


・咽頭共鳴
喉のスペースを広げるためにはアクビをする感覚がおすすめです。
軟口蓋が上がり、喉仏が下がる事を確認して声を出してみましょう。
ちなみに舌が奥に落ちてしまっては空間を狭めてしまうので、少し前に出す事もポイントです。


・鼻腔共鳴
鼻腔に共鳴させるためにはハミングでのトレーニングがおすすめです。
顔や頭全体に響くイメージで声を出してみて下さい。


3.姿勢、筋トレ

どんな発声エクササイズをする時も、基本的には真っ直ぐな姿勢を意識しましょう。
自分では真っ直ぐなつもりでもそうでない事はよくあります。
他の人に横から写真をとってもらうと良いです。
耳、肩、腰、ヒザ、足首が直線で繋がる位置が理想です。
あまり力んでピンとし過ぎるのも良くないので、自然に身体が覚えるまでなるべく意識して生活してみて下さい。


整骨院などで正しい位置を知る事もおすすめです。
また筋トレとしては正しい姿勢を維持するだけでも筋トレになりますが、声量をつけるためには適度な腹筋運動と背筋運動、特にインナーマッスルを鍛える体幹トレーニングをしっかりやるようにしましょう。
プランク30秒から始めてみて下さい。
それと固い筋肉にならないようストレッチも入念におこないましょう。


4.大きな声で歌う環境を作る

少し荒療治になってしまいますが、カラオケの音量を上げてマイクを切って歌う、またバンド演奏の中で歌うなど、声量が必要な環境に身を置く事で意識が変わります。
ただ、いきなり声量は上がりません。
喉を壊してしまわないように少しずつ声量を上げるよう気を付けましょう。
また、合唱やゴスペルなど複数の人たちで歌う場に参加する事もおすすめです。
だんだん周りの声量にひっぱられ、みるみる声量アップしていくことが期待できます。


■ 独学トレーニングの注意点

声量アップのためのトレーニングをいくつか紹介しましたが、独学でのトレーニングにはやはり危険が付きものです。
無理な発声で喉に負担をかけていないか、出来れば定期的にボイストレーナーの目と耳で確認してもらう事が望ましいです。
あくまで人が聴いて心地よい響きであること、そうであればほぼ自分の喉にとっても過度な負担はないはずです。


■ 自宅で出来るボイストレーニング

発声練習はなるべく毎日おこないたい所ですが、自宅で大きな声を出すことが難しい人は多いと思います。
前述したトレーニングの中でも「1.腹式呼吸」と「3.姿勢、筋トレ」は声を出さず声量アップを目指せるので、出来るだけ毎日の習慣にして頑張ってみて下さい。
ちょっと外に出て、ウォーキングやランニングで心肺機能を強化することもおすすめします。


--終わりに

今回は声量についてのお話しでした。
何事もそうですが、トレーニングは毎日コツコツ積み重ねることで効果を発揮します。
正しく継続的なトレーニングで理想の声量を手に入れて下さい。
もっともっと歌が楽しく、好きになることでしょう!